校長あいさつ


校訓 『学学術 為当為』の具現化

 

 本校は大正9年に宝飯郡高等女学校として開校し、昭和23年に校名が現在の国府高校となりました。本校を卒業した多くの先輩たちが、広く各界で活躍しております。
 本校の校訓『学学術 為当為』は平成12年創立80周年記念を機に、第20代校長大河原晧視先生が創案し定められました。

1 学ぶ術を学ぶとは
 『学学術(学ぶ術を学ぶ)』は、単に知識の習得にとどまらず、広く学ぶ方法を学び、向上心や探究心に基づき、いかなる事態にも柔軟に対応できる幅広い力を身に付けることを言います。これからの複雑・多様化する未来社会を、安心・安全に生活し、社会発展の中核で活躍する人材になるためには、必要不可欠な能力であると思われます。

2 『学学術』の具現化
 「学ぶ術を学ぶ」の具現化に向けて、私が考える大切なことは、自らの思考を促し、さらなる探究心の向上に繋げていく姿勢だと思います。次の二つのことを常に意識して学習することが大切です。

○ 「なぜ」と思ったとき納得いくまで追究する
 教科書の内容や授業で習ったことを、ただ暗記するだけでは浅くて表面的な理解に留まってしまいます。そうではなく、「なぜ」「根拠は何か」「他に方法はないのか」等、ふと思った疑問をそのままにしておかず、自分が納得いくまで追究することが大切です。この主体的に考える姿勢を身に付け、疑問を解決することで、既習内容の全体像を俯瞰的に把握できるようになり、より深い学びにつながります。

○ 振り返りを大切にする
 授業直後の頭の中は、習った知識が断片的に記憶された状態で、他に応用できる状態になっていません。すぐ忘れてしまう浅い学びの状態といえます。他に応用できる深い学びにするためには、断片的になっている知識と知識を結び付けて整理したり、既習の知識と関連付けたりして知識の構造化を図っておく必要があります。その最良の方法が授業の振り返りです。分かったつもりになっている内容も発見できる最良の学習法です。

3 当に為すべきを為すとは
 『為当為(当に為すべきを為す)』は、将来に渡って今やるべきことを実践し、また様々なことに積極果敢に挑戦して、より高い自己実践を目指すことです。社会の様々な場面で、何が課題で、自分が何を為すべきかを考えられるようになることは、これからの複雑多様な未来社会を生き抜く上で必須の能力といえます。そして、何事にも果敢にチャレンジして経験値を高めることで、臨機応変に対応できる柔軟な対応力を身に付けることができます。

4 『為当為』の具現化
 「当に為すべきを為す」の具現化に向けて、私が考える大切なことは、何事にもポジティブに取り組む姿勢だと思います。次の二つのことを常に意識して生活することが大切です。

○ 多くの経験を積む
 経験には小さい経験もあれば大きい経験もあります。将来役立ちそうな経験もあれば、そうでなさそうな経験もあります。一つひとつの経験だけでは力を発揮しないように思えても、複数の経験がベースになることで想像以上の力を発揮することがあります。経験を重ねることで人間の幅が広がり、何事にも対応できる力を身に付けることができます。特に失敗経験は、そのままにしておくと苦い経験でしかありませんが、振り返りをして失敗の原因を追究し今後に生かすことができれば、成功経験より価値のある経験にすることができます。成功の反対は成長なのです。多くの経験を積んで経験値を高めることが大切です。

○ 人生の壁から逃げない
 長い人生を生きていくと、多くの壁にぶつかります。一つの壁のときもあれば、複数の壁のときもあります。簡単に越えられる壁もあれば、越えるのに何日もかかる壁もあります。逃げるのは簡単ですが、いずれまた同じような壁が立ちはだかります。その壁を越えるには「自分に何が不足しているのか」「何をしなければいけないのか」等を整理し、必要な知識を身に付け、克服することが大切です。克服するにあたり、身に付けた知識と経験は、今後立ちはだかる類似した壁の超越をたやすくし、複数の知識と経験は、経験のない未知の壁の超越に生かされます。克服した後には、自信に満ち溢れ、一回りも二回りも成長した自分があるはずです。人は人生の壁を乗り越えるたびに成長していくのですから、人生の壁を飛躍のチャンスだと思い果敢に挑んでくことが将来の成功につながります。

5 将来を見据えて
 これからの社会は急速に進歩し、さらに加速していくと言われ、全く予測がつかない状態です。皆さんが、この高度な未来社会を生き抜くためには、3年後の進路実現だけではなく、将来の自分の在り方も視野に入れて考えていく必要があります。そのために必要な精神が『学学術 為当為』なのです。

令和5年4月4日
愛知県立国府高等学校長
齋藤 育浩